分度器・デバイダー・コンパスそれに三角定規や三角スケールといえば製図道具として使う文具の代表です。
今回は昔ながらの製図道具として利用されてきた文具をご紹介したいと思います。
製図に使用する文具とは?
三角定規やコンパスには小学生でもお馴染みのものですが、製図の仕事で使うものは学校で使用するものとは少し違っています。
それは 精度が要求されるからです。
小学校では何センチの円を描きなさいというあまり精度のいらない程度でいいのですが、仕事では精度が要求されてしかもきれいに描けていないとものになりません。
また、三角スケールといっても一般の方にはあまり馴染みは無いかと思いますが、これは、刻まれた目盛が実寸(尺度1/1)から6つの尺度(1/2・1/3・1/4・1/5・1/6)の目盛が刻まれた長さが30Cmの三角形をした物差しです。
設計では図面を描く時に実物(尺度1/1)の大きさでかくことは少なく、その1/2や1/5などと縮尺して描くことが普通なのです。
このために使う三角スケールは非常に便利な器具なのです。
本来は設計に使用される道具ですが、最近は様々な色の三角スケールが出ていておしゃれなものも多く出ています。
また、この時三角スケールから必要な尺度をとり図面にしるしをつけるために使用されるのがこの「デバイダー」の役目ということになります。
デバイダーを日本語でいえば分割器といいます。
図面に必要な縮尺の寸法を採って図面へ移してやる、これがデバイダーの仕事のひとつになるのです。
また、分度器も重要な器具のひとつです。
製図で使用する分度器は一般にある180度だけが測定できるものだけでなく360度が測定できるものもあります。
このように製図作業にはいろんな器具が必要なのです。
製図用文具の歴史
製図用文具にも時代の流れ・進歩はめざましいものがあり、製図機器にもいろんな改革が入ってきました。
まず製図板の改革です。
これは今まで机の上に製図板を置いてT定規を使って三角定規などで図面をかいていたものが、製図板が機械にセットされていてしかも、その製図板の角度が自由に設定できるようになったのです。
また角度が自由に設定できるスケール(スケールには尺度に対応する目盛が刻まれており必要な尺度毎に取替が可能)を備えてアーム状の製図板上を自由に移動できる「ドラフター」という製図専用の機械がでてきたのです。
この機械により製図の作業環境が大きく変わってきました。
今までT定規を動かし三角定規を当て図面の線をかいていたものが、ドラフターのスケールを必要な角度に設定するだけで線が引けるということで作業の効率が良くなったといえるでしょう。
このドラフターの時代は結構長く続きました。
その後、コンピューターの進歩で現在ではCAD(computer-aided-design)システムが導入されて来て、製図作業に大改革が起きて来たのです。
即ちディスプレイを見ながらキーボードで数字を打ち込んで図面を作成するのです。
昔習得した製図の作図技術や能力は現在では要求されないのです。
実際に設計されていた方のお話
ある方に文具についてお聞きしていると、製図道具の昔のお話をしてくださいました。
私は現在も設計士として使用していた記念として大切に持っている分度器・デバイダー・コンパス・三角定規・三角スケールを見ると、昔の製図作業をしていた当時の思い出が頭の中に浮かんできます。
図面がやっとの思いで完成して上司に提出すると、赤鉛筆でここはやり直しなどと印をつけられて返却されたりしました。
しかもあの時代は製図をしていると上司が巡回して来て、描いている途中でもいろいろと人間味のあふれたアドバイスを受けることができたものでした。
でも現在のCADシステムでは図面の内容は描いている途中には誰も図面全体を見ることはできません。
プリンターで印刷して見なければならないのです。これは上司が製図途中の内容チェックの遅れにもつながり非常に効率的には悪いものになります。
製図の作成能率は上がる半面内容的なチェックでは効率が下がってしまう現象につながり、結果としては何とも言えない状況です。
確かに設計のCADから製造部の機械を制御するためにCAD/CAMシステムも行われており、時代の発展には欠かすことは出来ないことではありますが、私にとっては記念にして保管している製図用器具をこれからも大切にしていきたいと考えています。
時代の流れとともに文具も日々変化していきますが、人との関わりや便利さを考えると一長一短ですね。
でも今は使っていなくても歴史を感じる文具はなんとも魅力があります。
今ではインテリアとしておしゃれにお部屋に飾ることもできそうです。
あなたも昔の使っていた文具を見返して見てみてください。
最後までお読み頂きありがとうございました。