乳酸菌

カスピ海ヨーグルトの効果はすごい!乳酸菌の種類と特徴【重要なのは粘り気】

カスピ海ヨーグルトの種類と特徴の画像

世の中には様々な健康食品がありますが、ご家庭でも簡単に手に入れやすい健康食品の代表格がヨーグルトです。

 

ヨーグルトにもたくさん種類がありますが、カスピ海ヨーグルトは他のヨーグルトよりもたくさんの健康効果があると言われています。

今回はカスピ海ヨーグルトに使用されている乳酸菌の種類とその特徴、さらにカスピ海ヨーグルトを食べることによってもたらされる様々な健康効果についてご紹介します。

 

大学で乳酸菌を研究し、家では自分でヨーグルトメーカーでヨーグルトも作っているぼくがお話しします。

本記事のポイント

・カスピ海ヨーグルトの乳酸菌の種類は商品によって違う

【カスピ海ヨーグルトの健康効果】

健康効果①:整腸効果

健康効果②:ストレスによる肌機能の低下改善

健康効果③:免疫細胞の活性化

健康効果④:血糖値の上昇を緩やかにする(糖尿病予防)

・もっとも効率のいい乳酸菌の摂り方は乳酸菌のサプリを利用すること

普通のヨーグルトに比べると健康効果が高いカスピ海ヨーグルトですが、「ヨーグルトであまり整腸効果など実感がない」という場合はサプリを試してみましょう。

特に「腸を健康にする乳酸菌の効果!「プレバイオティクス」「プロバイオティクス」って何?」でも紹介したプロバイオティクスのサプリ「くるポンタブレット」がおすすめです。

 

カスピ海ヨーグルトの乳酸菌の種類

カスピ海ヨーグルト乳酸菌の種類の画像

日本のスーパーで市販されていてよく見かけるカスピ海ヨーグルトは「フジッコ カスピ海ヨーグルト」と「グリコ おいしいカスピ海」です。

それぞれの乳酸菌に着目していきましょう。

クレモリス菌FC

乳酸菌の概要

正式名称(英語):Lactococcus lactis subsp. cremoris FC 株(ラクトコッカス ラクティス クロモリス)

通称:クレモリス菌FC

使用されているヨーグルト:フジッコ カスピ海ヨーグルト

フジッコが販売しているカスピ海ヨーグルトに使用されている乳酸菌です。

 

この乳酸菌は元々は日本に存在していない菌種でしたが、家森幸男博士(長寿研究で有名な人)がWHOのプロジェクトでカスピ海を訪れた時にヨーグルトを持ち帰ったことから日本にきたそうです。

 

なんとそのヨーグルト、カスピ海付近の村で100歳以上の高齢であり長寿の方がみなさん食べていたそうです。

その長寿の秘訣を研究するために日本に持ち帰って来られました。

 

乳酸菌の一種なのですが、他のヨーグルトに使用されている乳酸菌とは違い、連鎖球菌といった鎖のように繋がった球の形をした菌です。

(ブルガリクス菌は棒型、ビフィズス菌はY字型をしています。)

 

クレモリス菌FCは代謝の過程でEPS(Expolysaccharide)という高分子の多糖を産生します。

高分子というのは簡単に言うと分子がたくさんくっついたものです。

たくさんくっついているEPSがあることで連なった分子同士と乳成分がお互いに絡み合い、他のヨーグルトと比べて粘り気の強いクリーミーな舌触りのヨーグルトになります。

これがカスピ海ヨーグルト特有の粘り気の秘密です。

 

さらに、このEPSは高分子で鎖のように繋がっていることで消化液に分解されることなく腸まで届いてくれるという優れた性質を持っていて、そのおかげでたくさんの健康効果が発揮されています。

主な健康効果

・整腸作用

・便秘予防

・コレステロール低下

・アレルギー緩和

・血糖値の上昇抑制、糖尿病の予防

・免疫力強化によるインフルエンザなどのウイルス性疾患の予防

クレモリス菌FCを使用した実験の報告は数多くあり、様々な学会でも発表されています。

この実験結果に基づいた健康効果についてはあとでじっくりご紹介します。

 

 

クロモリス乳酸菌CHCC2907

 

乳酸菌の概要

正式名称(英語):不明(推定:Lactococcus lactis subsp. cremoris CHCC2907 株)

通称:クレモリス乳酸菌CHCC2907

使用されているヨーグルト:グリコ おいしいカスピ海

 

グリコのおいしいカスピ海に使用されている乳酸菌です。

 

こちらもクロモリス菌と呼ばれていますが、かなり情報が少ないです。

元々はチーズ用に使用されていた乳酸菌と言う説もあり、チーズのような酸味が特徴的です。

 

公式ページではサーモフィラス菌と混合して発酵させると書いてありますが、古来のヨーグルトの製法では通常の方法で、サーモフィラス菌の増殖の速さを利用し、相互作用で増殖を促進する方法です。

 

元々はGCL1176株で作られていると考えられていましたが変更されたと言うことで、菌種の同定が間違っていたのかなんなのか少し疑いを持ってしまいますね。

 

とはいえクロモリス乳酸菌を使用しているので、EPSを産生しクロモリス菌FCと同じような健康効果があります。

主な健康効果

・整腸作用

・便秘予防

・コレステロール低下

・アレルギー緩和

 

カスピ海ヨーグルトの健康効果

カスピ海ヨーグルト健康への効果

 

カスピ海ヨーグルトを摂取することでぼくたちの体には様々な健康効果が現れます。

今回は様々な研究機関でその健康効果を研究されているクロモリス菌FCを中心にご紹介します。

健康効果①:整腸効果

京都大学の共同研究によると、カスピ海ヨーグルトを1日200g、2ヶ月間摂取すると、摂取していないグループに比べて、排便回数や排便量が改善されました

また、水分量が増えることによって便秘の改善にも効果があります。

 

これはヨーグルト全般に見込まれる効果ですが、もちろんカスピ海ヨーグルトに含まれる乳酸菌でも腸内フローラを整えることで整腸効果が得られます。

 

さらに高齢者になる程減少してくる腸内のビフィズス菌を、クロモリス菌を摂取することで増殖させる効果もあるので、高齢者の方の健康や長寿にも有効的と言えます。

この辺りが冒頭にご紹介したカスピ海付近の村で長寿の方がいる秘訣なのかもしれません。

 

こちらの記事でも整腸効果について紹介しています。

便秘や花粉症、アトピー性皮膚炎にも効果あり!乳酸菌関連健康食品を徹底解説

・第51回日本食品科学工学会(2004年9月)にて発表
・日本食品科学工学会誌(2005)52巻, 6号, p.243-250にて掲載

「カスピ海ヨーグルト」研究会

健康効果②:ストレスによる肌機能の低下改善

静岡県立大学薬学部の共同研究によると、クロモリス菌FCは他のクロモリス菌やヨーグルトに使用される乳酸菌と比較して粘性多糖を多く産生することが確認されています。

乳酸菌が作り出す多糖のことを菌体外多糖(EPS:Exopolysaccharide)といい、これがストレスによる皮膚の異常を抑制するのに有効な成分であるという結果が出ています。

 

このことからクロモリス菌FCが作り出す成分は免疫を司る器官などにも有効に働くことが立証されました。

 

現代社会において不規則な生活時間や食生活によって肌荒れなどで悩んでいる方が多いです。

ストレスなどによる肌機能低下にもカスピ海ヨーグルトが効果的なので、肌のトラブルで対処法がなくてお悩みの方は毎日の食事にカスピ海ヨーグルトを取り入れてみると改善される可能性があります。

・過密ストレスモデルに対するLactococcus lactis subsp. cremoris FC株(クレモリスFC株)を用いた発酵物の作用 その2.牛乳発酵物によるストレス兆候への影響及び有効成分について

・過密ストレスによる皮膚機能低下に対するLactococcus lactis subsp. cremoris FC株(クレモリスFC株)の牛乳および豆乳発酵物の作用

「カスピ海ヨーグルト」研究会

健康効果③:免疫細胞の活性化

カスピ海ヨーグルトの乳酸菌から生産される物質によって免疫細胞を活性化するという効果があります

 

EPSが産出されることにより、EPSが免疫細胞を活性化してサイトロンという生理活性物質の生成を誘導します。

サイトカインは免疫系に関係することが多く、たとえば炎症応答では白血球がサイトカインを放出しそれがリンパ球を誘引して炎症部位に誘導したりといったように働く物質です。

さらにNK細胞やT細胞、アレルギーや感染症などから僕たちの体を防御してくれるIFN-γを強く誘導し、免疫力を増強することが明らかとなりました。

 

この作用によってインフルエンザなどのウイルスの感染後の症状が悪化するのを防いだりしてくれるわけです。

研究では感染症予防だけでなく抗アレルギー活性や抗腫瘍活性が出てくるとも言われているので、花粉症予防やがん予防として有効な乳酸菌およびヨーグルトであることが立証されています。

・カスピ海ヨーグルト摂取と風邪症候群の関連性調査

・Lactococcus lactis subsp. cremoris FC株牛乳発酵物の経口投与がインフルエンザウイルス感染モデルマウスに及ぼす影響(第2報)

「カスピ海ヨーグルト」研究会

健康効果④:血糖値の上昇を緩やかにする(糖尿病予防)

EPSを摂取するとブドウ糖などの糖分が入ってきても吸収が抑制されるということが研究により明らかになっています。

 

近年増加している肥満やメタボリックシンドロームといった生活習慣病ですが、この原因としては血糖値が急激に上昇するような食事が続くと、糖質が脂肪として蓄積されてしまい引き起こされると言われています。

 

一般的に食物繊維は、小腸での糖質の吸収を抑制することで、血糖値の上昇をゆるやかにすることがわかっています。

カスピ海ヨーグルトに含まれる粘り成分(EPS)は、食物繊維と同じように高分子になってたくさんの分子が繋がっていて、さらにヒトの消化液で分解されません。

このEPSが食物繊維のようにはたらくことで血糖値の上昇がゆるやかになったと考えられています。

 

ですので、カスピ海ヨーグルトを摂取すれば糖尿病予防になるということが言われています。

・Lactococcus lactis subsp. cremoris FC株(クレモリスFC株)を用いた牛乳発酵物および菌体外多糖の血糖値上昇に対する作用

・乳製品の発酵の有無による複合炭水化物吸収への影響

「カスピ海ヨーグルト」研究会

その他:嚥下機能が低下した人の食品として適している

EPSが産生されることで粘りが出るとお話ししましたが、EPSの粘りが誤飲防止にも役立ちます

 

粘りと聞くとなんとなく喉に余計に詰まりそうな印象を受けるかもしれませんが、お餅のような粘りではなくあくまでも一般的なヨーグルトと比較して粘り気が強いということなので詰まる心配はありません。

それよりも今回の問題は嚥下機能(飲み込む機能)が衰えている人が液体のような食品を食べた時に誤って気管に入ってしまうということです。

 

ヨーグルトもどちらかというと液体に近いものが多いと思いますが、カスピ海ヨーグルトの独特の粘りがあるおかげで口の中でバラけずに飲み込むことができるのでまとまって喉を通っていってくれます。

これは嚥下機能に障害のある人を対象に一般的なヨーグルトとカスピ海ヨーグルトを食べてもらい、内視鏡で見てみると残留が少なく、まとまって飲み込むことができていたという研究結果が得られています。

 

高齢者が多くなってきた最近の社会にとって、嚥下機能が低下した人にはカスピ海ヨーグルトが救世主なのかもしれません。

・嚥下内視鏡によるカスピ海ヨーグルトの嚥下適性の評価

「カスピ海ヨーグルト」研究会

カスピ海ヨーグルトの摂取方法

カスピ海ヨーグルトの摂取方法

 

カスピ海ヨーグルトを食べると健康へのいい効果がたくさんあることをお分りいただけたと思います。

 

では僕たちの生活の中でどのような摂取方法があるのかご紹介したいと思います。

スーパーでカスピ海ヨーグルトを買ってくる

 

一番簡単な方法はスーパーで売っているものを買ってくることです。

最近ではどこのスーパーでも売っていますので簡単に手に入ると思います。

自作する

カスピ海ヨーグルトを自作する画像

 

こちらは種菌の入ったセットが売られていますので、牛乳と容器を準備すれば簡単に作ることができます。

 

クロモリス乳酸菌CHCC2907

注意しなければならないのは普通のヨーグルト用のヨーグルトメーカーでは作れないということ。

通常の乳酸菌は40度前後が増殖に適切な温度なので、ヨーグルトメーカーも40〜42℃に設定できるものが多いのですが、カスピ海ヨーグルトに入っている乳酸菌の特性上、その温度に達してしまうと死滅してしまいます。

カスピ海ヨーグルトを自作する際は室温での発酵が必要です。

 

他にも自作する場合の注意点を書いておきますが、基本的には作り方は簡単です。

自作する時の注意点

・温度は室温(27℃程度)で培養する

・菌種を入れすぎない(多くなりすぎると固まらなくなる可能性があります。)

粉の状態であれば牛乳500mlに対して1袋。

作ったヨーグルトを種にする場合は大さじ3が目安です。

・容器・混ぜる用のスプーンの熱湯消毒はしっかりする

家で作ればスーパーで買ってくるより大量に、しかも安く作れます。

一箱約1000円で2回分入っていますが、1回分作って1ヶ月ぐらいは作ったヨーグルトを種菌として使用できるので、継ぎ足しで500ml×回数分できるということです。

毎日200mlずつ摂取したとしても1ヶ月6000ml、12回分が500円でできますね。

 

※継ぎ足しで使用する期限は特にありませんが、生活環境の他の菌の繁殖などの危険性を考えると1ヶ月ぐらいで全て初めから作り直すことが推奨されています。

サプリで摂取する

乳酸菌のサプリの説明画像

・ヨーグルトで摂取するには結構な量を食べないといけないのはちょっとツラい

・毎日食べたり作ったりするのは少し面倒

上記のような方にはサプリでの摂取がおすすめです。

乳酸菌をサプリで摂るメリットは以下の通り。

何よりサプリは様々な乳酸菌が一度に配合されているので、自分に効果のある乳酸菌を見つけるのに短期間でしかも高確率で出会えるというところがメリットです。

 

ではどんなサプリを選べばいいのでしょうか?

 

最近ではプロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェネティックなど様々な摂取方法が出てきています。

それぞれの違いについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

腸を健康にする乳酸菌の効果!「プレバイオティクス」「プロバイオティクス」って何?

便秘や花粉症、アトピー性皮膚炎にも効果あり!乳酸菌関連健康食品を徹底解説

 

その中でも先ほど解説したEPSなど乳酸菌生産物質と呼ばれる乳酸が作った体にいい影響のあるものを作る働きを、オリゴ糖と乳酸菌で効率よく補うプロバイオティクスは人の消化器官などに影響を受けにくい摂取方法として注目されています。

様々なサプリがありますが、くるポンタブレットはこのプロバイオティクスに該当するサプリなのでおすすめです。

 

「サプリは高い」という印象があるかもしれませんが、1日1回約130円で美容・健康維持ができると考えればそんなに高価なものではありません。

 

ヨーグルトで色々アレンジして楽しみながら摂取するというのでも良いですが、毎日継続して摂り続けるためにサプリも活用してみてください。

 
無理なく続けられる摂取方法を選んでくださいね。

カスピ海ヨーグルトは健康にとても良い!自作とサプリをうまく使おう

カスピ海ヨーグルトまとめ

 

いかがでしたでしょうか?

 

カスピ海ヨーグルトの効果や特徴をまとめましょう。

カスピ海ヨーグルトの特徴

・カスピ海ヨーグルトの乳酸菌の種類は商品によって違う

【カスピ海ヨーグルトの健康効果】

健康効果①:整腸効果

健康効果②:ストレスによる肌機能の低下改善

健康効果③:免疫細胞の活性化

健康効果④:血糖値の上昇を緩やかにする(糖尿病予防)

カスピ海ヨーグルトを好きで食べている方もたくさんおられると思いますが、ここまでの健康効果があるということを知らなかった人も多いのではないでしょうか。

お肌のトラブルやアレルギーなどの症状でなかなか自分にあった対処法が見つかっていない、血糖値や肥満・メタボが気になるのであれば、一度ご自分の体に合うか試してみてください。

 

カスピ海ヨーグルトを毎日お得に食べたい場合は自作にチャレンジしてみましょう。

 

また、カスピ海ヨーグルトだけではなく、乳酸菌の健康への効果を効率よく高めるにはオリゴ糖と乳酸菌を配合したプロバイオティクスのサプリの利用も検討してみましょう。

ABOUT ME
ぽこにゃん
20代、会社員。大学・大学院では化学を専攻し、いわゆる「サイエンス」について勉強をしてきた理系男子。研究室では乳酸菌の遺伝子組み換えについて研究に没頭してきた。
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